この記事は単独で読める内容ですが,次の記事の続編とも言えます.
性的指向と性自認に比べて,恋愛的指向は有名ではないため省略されることが多々あります. この記事では,恋愛的指向が省略されたときにどう判断すべきかについて,個人的見解で述べます. テキストマイニングとかは一切していないのであしからず.
大原則として,多数派に属していれば省略するというのがあるように思われます. 例えば性自認でいうと,本人が何も言っていなければシスジェンダーとみなされるでしょう.
恋愛的指向における多数派の一つに,性的指向と一致していることが挙げられます. 一致していないことを示したい場合には,Variorientedというマイクロラベルが使えます.
Aセクシュアル以外の性的指向ではとてもシンプルです. 恋愛的指向について本人が何も言っていなければ,性的指向と一致するとみなしてよいでしょう.
では,Aセクシュアルの場合はというと,どうも事情が異なるように思えます. 実際のところは分かりませんが,Variorientedがむしろ多数派ではないかと思われます. そのためか,英語圏ではAロマンティックかつAセクシュアルを示すのに「Aroace」という単語があります. 単に省略形同士を引っ付けただけとはいえ,単語があるというのは明示したいということでしょう. *1
一方,日本語圏ではノンセクシャルという単語がありますが,Variorientedを示すことを優先したと考えられます. 英語圏でノンセクシャルに相当するのは "Alloromantic Asexual" となるので,なるほどわざわざ造語した意味はありそうです.
前の記事にて,日本語圏の分類が気に入らないと書きましたが,次のようになってくれれば英語圏との整合性もとれて良くなると思われます.
- アセクシャル:性的惹かれの欠如で定義される性的指向(恋愛的指向については不明)
- ノンセクシャル:性的惹かれは欠如しているが,恋愛的惹かれは存在する性的指向
- アロマンティック:恋愛的惹かれの欠如で定義される恋愛的指向(性的指向については不明)
- Aroace:恋愛的および性的惹かれの両方の欠如で定義される恋愛的および性的指向
要はアセクシャルとアロマンティックを英語圏の意味に合わせることで,ノンセクシャルがアセクシャルに包含されるようにすることです.
残念ながら,日本語圏ではアセクシャルがAroaceの意味になってしまっており(例:はてなブログタグ),これは私にとってはよろしくありません.
最後に,私はノンセクシャルに該当しますが,このような日本語圏の事情を無視したとしてもノンセクシャルという単語を使わずにAセクシュアルで通したいですね. 私にとって恋愛的指向なんて信用できず触れたくないことですから.